着床障害を疑う人に対する検査

ARTを行っている人が2回以上良好胚を移植しても妊娠しない場合に着床障害を疑います。厳密に反復着床障害(RIF)と言えば、ARTを行っている40歳未満の方が3回以上4個以上の良好胚を戻しても妊娠しない場合をいいます。

着床障害の要因は子宮因子、免疫学的因子、胚因子の3つが考えられます。
当院では子宮因子の検査①~③、免疫学的検査④を受けられます。なお胚因子の検査(PGT–A)は当院では行いません。

  1. ERA・EMMA・ALICE 子宮内膜を採取して遺伝子検査を行います。ERAは胚を移植する日(着床期ウィンドウ)にズレがないかを調べます。EMMAは妊娠に優位な善玉菌が何%いるか調べます。ALICEは慢性子宮内膜炎の原因となる悪玉菌がいるか調べます。同時に3つ調べることも出来ます。詳しくは「ERA・EMMA・ALICE」の項を参照してください。
  2. 子宮内膜を採取し、CD-138で特殊染色をした病理組織検査を行います。この検査では炎症性の形質細胞の数を調べて慢性子宮内膜炎があるか調べます。完全に月経が終わってから数日の間に行います。
  3. 子宮鏡検査で子宮頚管や子宮内腔を観察します。子宮内腔に子宮内膜ポリープや癒着、炎症の所見がないかを調べます。月経が終わってから排卵日までに行います。
  4. TH1とTH2の比を免疫学的血液検査で調べます。この比が高い場合母体の受精卵・胎児に対する拒絶反応が強く、着床・妊娠の維持ができないという免疫学的な要因が考えられます。月経5日目から10日目の午前中に採血します。

2022年4月から不妊治療の保険診療化に伴う変更
①④は生殖補助医療(ART)を保険で行う場合、当院では行えません。今後の保険改定で保険適応になれば再開いたします。