はじめに(体外受精・胚移植に関する説明)

卵管の通過障害や重度の乏精子症、また、一般不妊治療によりなかなか妊娠に至らない場合のステップアップした治療法として、高度生殖補助医療(体外受精・顕微授精)による不妊治療を行います。
卵巣で成熟した卵子を一度体外へ取り出し、授精させた後、子宮に戻すという方法です。

年齢や体質にもよりますが、タイミング療法などの一般不妊治療と異なり、多くの患者様には連日卵胞ホルモンの注射に通っていただくことになり、体外受精の当日には入院(日帰り)や採卵のための全身または局所麻酔が必要となる点など、身体的および費用面での負担が増加しますので、ご夫婦でよく相談になった上で治療を開始しましょう。

疑問、不安があれば、医師、看護師がお答えしますので、ご相談ください。
当院看護師によるカウンセリングを受けていただく機会も提供いたします。
またご希望がありましたら、県や法人で行われている専門の相談・カウンセリング先を紹介いたします。

体外受精を行うことで初めて明らかになる不妊原因もありますので(卵子の質や授精障害など)数回の人工授精を行っても妊娠されない方や、子宮内膜症があり卵管などの癒着が疑われる方には早めの体外受精をお勧めしています。

体外受精による不妊治療は1978年にはじめて成功が報告されました。日本でも1983年以来、体外受精による不妊治療を開始する施設が徐々に増加し、日本国内においても高度生殖補助医療により10万人を超える赤ちゃんが誕生しています。
体外受精の技術が発達したことにより、挙児不可能であった卵管障害や重度乏精子症のご夫婦の希望を叶える事が出来るようになりました。しかし体外受精の技術が確立されてからまだ日が浅いため、誕生した児や次世代に対する影響などについては完全に解明されているとは言い難く、研究が進められている段階です。もちろん見た目で判断する奇形を有する児の発生率や成長には、自然に妊娠して誕生した児と変わりありません。

この治療法の成績は日本産科婦人科学会へ報告し、また関連学会への学術発表に使用することがあります。この場合、個人情報の保護を十分に配慮し、患者さまご夫婦および出生時のプライバシーを尊重いたします。

 
 

医学書院 不妊治療ガイダンス第3版 より引用